ライフプランと個人資産の管理アプリ・フォーチュンポケット
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家計のなかで最も「節約が難しい項目」、それはスマートフォン(携帯電話)の毎月の利用料です。「スマホ」が無ければ生活できないとまでいわれる存在感と天引きで毎月の料金が引き落とされる性格から、家計改善の対象として考えられないという意見が多いところ。ところが最近、そのスマホが大きな転換期を迎えています。
まず、スマートフォン代の「内訳」がどうなっているかご存じでしょうか。たとえば毎月12000円が請求されていても、それが純粋に「電話代のみ」でないことは解ります。では他に何が?と問われると困るのも事実。そこで筆者のある月の料金を通して見ていきましょう。人並みにインターネットを使い、通話もする。平均的なペルソナだと思います。
<ある月の筆者のスマートフォン料金 12,345円(大手K社)>
毎月のスマホ利用料が高いと通話のし過ぎか、アプリ決済の使い過ぎを懸念してしまいますが、上記の内訳を見るといずれも10%に満たないことが解ります。加えて驚くべきことは、月次料金の6.5割を占めるのはプラン利用料や機器本体といった「固定費」であるということ。極論、1か月まったくスマホに触らなくてもかかるお金です。このことから最近は、人生で二番目に大きな買い物はスマホという指摘さえあるほどです(一番は住宅費)。
このスマホ利用料、現在大きな変革の時期を迎えています。国が主導で「スマホの利用料は高すぎる」と指摘、かつスマホ事業を運営する携帯キャリア各社が数社と寡占状態にあるとして、事実上の値下げ支持を行いました。これを受け、2021年1月現在、各社がリーズナブルな新ブランドを次々と発表しています。
まず最初の発表となったのはNTTドコモです。1つのプランでの提供と、シンプルさを前面に出しています。特徴は以下のとおりです。
○プランは1つのみ。条件なしの税抜2,980円/月
○データ20GB実装(5GBあたり500円で追加チャージ可能)
○5分以内の国内通話無料(以降30秒あたり20円)
○高品質の4G・5Gネットワーク
○オンライン申込で契約サクサク
参照:NTTドコモ ahamo
このahamoは同社が展開する「プランの1つ」のため、1.でいうところの電話料金+アプリ利用料が比較対象になります。それでもデータ利用量がとても広いため、現行のdocomoユーザーとしては月あたり数千円の削減が可能になると見込まれます。またプラン変更でキャリア自体の変更ではないため、番号ポータビリティ(MNP)の手続きも不要です。
一方で現行のdocomoショップが管轄する商品ではないため、利用中に不具合や不明点があったときにショップに駆け込む、といった対応が期待できない可能性があります。申込もオンライン取引に限定と打ち出されているため、ある程度インターネットに慣れた若年層を対象としているものといえるでしょう。これまで月に1度以上ショップに通っていたというユーザーは利用ストレスを感じる可能性があるため、実際3月にahamoが開始されユーザーの声が届き始めてから利用を検討する方がいいと思います。
2021年1月現在、先行申込を対象としたdポイントの3000ポイント付与キャンペーンが開始しています(5/31まで)。考えてみれば使っていない機能が多く、オンラインでのやり取りに違和感のない人はキャンペーン利用を検討しましょう。
ahamoを受け競合のソフトバンクが発表したブランドです。特徴は以下のとおり。
○税抜2,980円/月。LINE利用における利用ギガノーカウント機能を実装
○5分以内の国内通話料金無料。超過30秒あたり20円。超過分無料となる1000円オプションも実装予定。
○既存のLINE MOBILEをソフトバンクキャリアとして吸収合併
参照:ソフトバンク Softbank on LINE
先日LINEを子会社化したソフトバンク(Yahoo)ならではのプランです。今や若年層に限らず、LINEはスマホを使ううえでの不可欠なインフラともいえるでしょう。そのLINE関連を無料としたプランはとても魅力的です。
つい先日、1月13日にKDDI(au)からも、他2キャリアの新料金プランに対抗した、同価格帯の新料金プランの発表がありました。
○20GBが月額2,480円で利用可能 (20GB超過後でも最大1Mbpsの通信速度)
○24時間データ通信が使い放題となる「データ使い放題 24時間」を月に何度でも利用可能 (200円/24時間)
○オンラインに特化したシンプルな手続きを実現 (eSIMにも対応予定)
○高速、大容量の5Gネットワーク (2021年夏予定)、人口カバー率99%超の4G LTEネットワークで快適なデータ通信が可能
参照:KDDI ニュースリリース
手続きはオンラインでの対応に特化しており、店頭での申込やサポートを受けることができない点、データ容量が20GBである点、5G対応である点はは他2キャリアと同様ですが、月額料金が他2キャリアと異なります。他社が2,980円/月なのに対して、「2,480円/月」と驚きの価格です。スマホ料金を限りなく削減し、かつ20GB程度のデータ容量を確保したいという方は検討をしてみてもいいかもしれません。
2021年春には各社とも実際に申込が開始されるという動きになるでしょう。ではこれらの風潮は、家計にどのように影響があるのでしょうか。
これら新ブランドの活用は、家計においても著しい影響が予測されます。1.でスマホの月次料金の大部分が固定費であることがわかりましたが、これら「使わなくても変わらない」金額が底下げされることにより、家計にプラスの効果が見込めます。かつスマホ料金は銀行口座から引き落とされるため、振込のようにいくら使ったかが顕在化しづらいもの。新ブランドに切り替えて数か月続くと、家計に少し余裕が見えるという効果が生まれるでしょう。
その場合に大切なのは、いわゆる効果測定です。スマホの料金は数千円浮いたけれど、毎月の食費や交際費に幾らかかっているのか記録を取っていなかったがために、結局お金が残らなかったという結論は避けたいもの。そこでスマホ料金の変遷も踏まえて「資産管理アプリ」を活用し家計の流れを見える化したうえで、スマホ料金によって発生した享受がそのまま貯蓄になる習慣化を進めていきましょう。その積み重ねが、「毎日の代金は高いけれど仕方ない」という、家計のなかでのスマホの位置づけを変えていくことに繋がります。
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