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ファイナンシャルプランナーとして数多く依頼される相談のひとつに、「家は買うべきか、それとも借りるべきか」という相談があります。その相談趣旨はいくつかのケースに分かれますが、少し前までは「高齢者になると賃貸物件を借りることができなくなるから、家は早めに購入したほうがよいか」という趣旨の相談も数多くありました。しかし最近では以前に比べ、そういった相談も減ってきており、あまり聞かなくなりました。今回はそんな都市伝説的に世間でささやかれている「高齢者の賃貸問題」について、実態を解説します。
購入した自宅は当然ですが「資産」になります。そのため物件購入時に借り入れた住宅ローンを完済すると、ノーコストでその自宅に住み続けることができます(家賃の支払いがないという意味です。メンテナンスや修繕という視点は除きます)。一方で賃貸の場合、いわゆる不動産オーナーから借りている家のため、新規の賃貸借契約時は「審査」があります。この審査は一般的に保証会社が行いますが、高齢者(特に一人暮らし)はオーナーにとってリスクと判断され、断られることが多いと言われています。その理由は主に以下の3つです。
高齢の入居者は、定期的な給与収入ではなく、年金を受給しながら貯蓄を切り崩して生活している人も多いため、現役世代に比べ「家賃支払いの安定性」は劣ります。家賃の支払いが滞るリスクを懸念し、いわゆる給与所得者からの入居希望があるなかで高齢者には貸したくない、とするオーナーが多くいるのです。
最も大きな理由は、亡くなってしまう可能性が高いから。特に高齢者が個人で入居する場合は、万が一倒れたときに迅速な救護活動が出来ず、家のなかで亡くなってしまうという例は確かにあります。
賃貸オーナーにとって不動産物件は資産です。築年数など状況に応じて建替えや売却など、思い切った判断も選択肢に含まれます。そのときには、いわゆる「追い出し」が発生します。高齢者は他に物件が見当たらず、転居のタイミングが遅れる傾向は確かにあるでしょう。
これらの理由から、賃貸オーナーが高齢者に賃貸物件を貸すのを嫌がり、その意向を受けた保証会社や不動産仲介がNGを出すという傾向は長くありました。ただ、これは「賃貸入居希望者>賃貸物件数」という「貸し手市場」の話の場合です。
平成30年の総務省統計局調査によると、日本全国の空き家の数は848万9千戸。総住宅数(6240万7千戸)に対する空き家率は13.6%と、過去最高の数字が報告されています。今回注目すべきは、この空き家数のうちの「賃貸物件の数」です。
同調査によると、空き家のうち賃貸物件用途は432万7千戸。空き家総数の半数を超えています。当然ながら賃貸相場が貸し手市場であればあるほど、この数字は小さくなるべきです。空き家となる不動産物件は、いざ貸し手市場が縮小してもなかなか削れないもの。そう考えると、既に賃貸オーナーが入居者を選べる時期は過ぎ、今後は賃貸希望者が比較的物件を選ぶことのできる「借り手市場」が到来しているといえるでしょう。
今後、国内の賃貸物件供給市場が著しく縮小することがない限り、「高齢者にも貸さず空き家を選ぶのか」という情勢となります。賃貸希望の高齢者にとっては、歓迎すべき状況です。
出典:総務省統計局
もちろんこれらの状況は都市部と地方部という大枠だけではなく、それぞれの街によって状況は大きく異なります。現役世代はこの情勢を受け、どのように考えるべきなのでしょうか。
実際に「高齢者だから住む家がなかった」という話はファイナンシャルプランナーとして、最近聞かなくなっているように思います。今回の記事で取り上げた統計にもとづく借り手市場が、一般化している証拠でしょう。人生でもっとも大きな判断ともいえる「家を買うかどうか」ということ。この判断をするにあたって、「年を取ると借りられる物件が無くなる」は、もう過去の考えと割り切るようにしましょう。地方都市によっては価値観の変化に時間がかかり、まだ従前の考えを引きずっている、という考えもありますが、街・自治体自体が高齢化しているなか、その部分は早々に変化しているのではと思います。
現在の街を気に入り、住宅購入はしないまでも賃貸で住み続けたい。そのようなニーズをお持ちの場合は、地元の不動産仲介に「高齢者になっても家を借りれますか」と状況調査をするのも良い方法です。高齢者の両親が探している、という具体論で聞いてもいいですが、実体のないところに営業されても仕方がないので、一般論として聞く方がいいでしょう。
高齢者の賃貸問題について解説しました。これまでは、高齢者になると賃貸に悩まされるため、無理をして住宅ローンを借りている、という家庭も存在しました。もちろん住宅を買うのはひとつの考え方です。賃貸で通すことでは得られない「資産の取得」になります。ただ、無理をすることではありません。時代の変化を見ながら、住宅に対するライフプランの考え方も適宜変化が必要ということでしょう。
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