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親が元気なうちに、相続の準備をどこまで進められているでしょうか。当然ながら実際に相続が発生した(親が亡くなった)あと、家族で共有できていなかったものを確認するのは不可能です。そのため、相続が発生する前に家族間で相続に関わる情報を共有しておくことが理想ですが、親が元気なうちに相続の話ができないというのも事実です。
その情報のなかで、実際の相続経験者から「家族で共有しておけばよかった」といわれるものが「親の本籍」です。親の本籍がどこか、知っているでしょうか。
そもそも本籍とは何でしょうか。
本籍とはすべての人が持つ「戸籍」に記載される住所のこと。現住所と同一の人もいれば、出生地や以前居住していた場所を本籍としている人もいます。なお、本籍には「居住していた場所でないといけない」というルールはなく、名勝地などを本籍にしている人もいるといわれています。以前の日本においては帰属地を示す情報として重要だったものの、現在は「自分の本籍がどこか知らない」という人も多いでしょう。引っ越しなどの際に「本籍はどこですか?」と聞かれ、いま自分の本籍がどこか認識するケースも多い。筆者もこのあいだの引っ越しの際に、自分の把握していた場所と本籍地が異なっていました(10数年前に結婚した時の住まいでした)。それだけ実生活において存在感が薄くなっています。
前時代的な印象を持つ戸籍制度ですが、こと相続に関してはとても重要です。
相続において、亡くなった人(被相続人といいます)の本籍が記載された戸籍謄本は、以下の手続きにて必要になります。この戸籍謄本は、税務署などの公的機関や金融機関に提出する必要があります。いわば相続手続きが健全に行われているかの証明書の役割です。
<相続時に戸籍謄本が必要な手続き>
○不動産の相続登記
○預貯金や証券会社の名義変更や払い戻し
○相続放棄の手続き
○限定承認
○所有していた自動車の移転登録
○死亡保険金の請求
○相続税の申告
特に最後の相続税の申告については、相続の手続きを始めるにあたり、被相続人が一生のうち記載されていた戸籍を集めることが必要になります。なぜ最終的な(亡くなった時点の戸籍)だけでは足りないのかというと、一生のなかで発生した相続関連情報が手続きに必要になるためです。特に本来、相続資産を受け取る権利のある家族親族(相続人といいます)が残された家族に知られていなかった場合を避けるため(隠し子や結婚前の養子縁組など)、相続手続き時において戸籍の確認は必須です。
一般的に、相続人が集める戸籍謄本は少ない人で3-4通、多い人で10通といわれています。相続の手続きにおいては相続人が各地の市役所・役場に行って集めるか、委任を受けた司法書士などの専門家が代理役として収集します。
相続における遺産の配分(遺産分割協議)は相続人全員で行います。そのため、相続人が発見されない、という状況は手続きにおいてあってはならないことです。万が一相続手続きが終わったあと、相続人があらたに出てくるようなことがあると、相続手続きをやり直さなければならない可能性まで生じます。その時に承継した相続資産を仮に使っていれば裁判にもなりかねないため、戸籍を使った相続手続きがとても重要です。
とはいえ、生前の親に「万が一のときに戸籍が必要になるから、生まれてから今までの本籍移動を教えて欲しい」というと、間違いなく微妙な空気が流れます。その理由が「隠し子がいないか確認のため」では、専門家である筆者も正直、親に聞けません。
親に聞きづらいことはほかにもいくつかあります。
○どこの銀行口座を所有していて、資産はどれくらいか
○不動産は何を持っているか
○借入金はあるか。会社の借入金に個人保証をしているか(特に親が経営者の場合など)
ただ、上記3つに比べ、隠し子の確認はきわめて難易度が高い。とはいえ親が亡くなったあと、住民票や運転免許証を見れば本籍の変遷が見られるものでもない(いずれはマイナンバーカードで見られるようになるという噂も)以上、生前に親と共有しておく方法はないのでしょうか。
今回の記事を書いて感じたのは、本籍を家族と共有することの意味です。隠し子の確認と聞くと、どれだけ家族と良好な関係が築けていても、決していい気はしません。ただ、親の本籍変遷がわからないと、相続手続きの開始に時間がかかるというデメリットがあります。終活に関連させ親と一緒に生前に集めておくと、「戸籍取得のためだけに該当の役所に出向く」という作業が不要になります。
死亡の事実を確認する最新の戸籍は亡くなったあとにしか取得できませんが、それまでの戸籍の変遷に特に期限はありません。終活の一環に取得しておいて、エンディングノートなどと共に所有しておいて貰うのはとても効果的です。
ただ税務署などの公的機関ではなく、金融機関に関しては「取得後〇ヶ月以内の戸籍謄本」という期限を示される場合もあります。また、相続人の立場を示す戸籍も同様に被相続人が亡くなった後でなければ効果を示さないものもあるので注意が必要です。
一般的に税理士や司法書士などの専門家は、「相続が発生してからが出番」といわれます。ただ、最近はそれにとどまらず、後見制度や家族信託を駆使して、より相続にトラブルが起こらず円滑に終わるように、被相続人の生前から積極的に関わる専門家も増えてきました。これを受け、遺言作成の段階から専門家に情報開示する被相続人・家族も増えているようです。事前相談の段階で、「親に戸籍の取得をお願いしたいのですが」と相談してみましょう。対応経験にもとづく聞き方にアドバイスを貰えるかもしれません。
残るは、時間的なアドバイスです。現在は相続発生と同時に戸籍を取りに自治体を巡りますが、2024年を目処にどの自治体でも戸籍を取得できるようになる見込みです。実際に相続が発生してから戸籍を取得する場合も、生前に親と一緒に戸籍を集める場合も、一気に相続準備が楽になるといわれています。加えて昨今のデジタル移行につき、その対応が一気通貫で早くなることも期待できる雰囲気になってきました。
相続は少しずつですが、亡くなった後の手続きから人生を振り返る纏め作業になっているように思います。戸籍制度は「隠し子がいないかの確認」としてではなく、総纏めのひとつとして親と進めていきたいものですね。
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