失業・退職時のライフプランに大きな味方!任意継続被保険者について

2020年08月11日・社会保険
失業・退職時のライフプランに大きな味方!任意継続被保険者について

目次

    転職を目的として今勤めている会社を退職するとき、またやむを得ず失業するとき、当面の生活費確保は大きな悩みです。最近は働き方の多様化から、すぐに転職をすることなく(会社員→会社員にならず)、一時的にフリーランスなどで生計を組み立てる人も多くなりました。その時に気をつけたいのは、これまで給料日に受け取っていたお金の時点で「引かれていたもの」と、その代わりとなる支払いについてです。
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    1.病院に通う医療費は、毎月受け取る給料から支払っている?

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    毎月ワクワクして迎える給料日。このときに銀行口座に振り込まれる金額は、勤務先が定めた金額から社会保障費などを抜いたもの。よく「手取り」と表現されるものです。この時抜かれるもののなかに「健康保険料」があります。会社が加入している健康保険協会・健康保険組合(業務内容や職種によって異なります)に、会社を通じて納付しています。

    病気やケガをしたとき、病院に赴きます。このときに「健康保険証を出してください」と言われます。この意味は、「医療費の一部を健康保険が負担するので、加入を証明してください」という意味。働いている世代は通常7割を保険が負担、自分たちは残りの3割を支払います(年齢などによって1割もしくは2割のケースがあります)。

    風邪を引いて病院に行って1,500円を支払った。この場合、実は5,000円の医療費が支払われているのですね。

    2.会社を辞めると健康保険制度の保護下から外れる

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    当然ながら失業や転職をした場合、健康保険の対象者から外れます。これは、健康保険は従業員が半分、勤務先が半分を負担しているためです(労使折半、といいます)。既に退職をした人に対し勤務先が保険料を支払うことはないため、会社を辞めると現行の保険証は(会社に返却しなかったとしても)使えなくなります。

    すぐに別の会社に入るならば、新しい健康保険制度に組み入れられるため心配はありません。問題は、ここに「一定期間」が空く場合です。その場合は自営業用の健康保険である「国民健康保険」に加入するか、親や配偶者など家族の健康保険に「被扶養者として」加入するか、が選択肢になります。ただ、もうひとつお勧めの制度があります。それが、「任意継続被保険者制度」です。

    3.任意継続被保険者制度とは?

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    任意継続被保険者制度は、在職中と同様の保険給付が受けられる制度です。有効期間は2年間。ただ、退職者全員が利用できるものではなく、2つの条件が設けられています。

    〇退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間があること(雇用されていること※実働ではないので有給も含みます)

    〇退職日の翌日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を、居住地(勤務地ではありません)最寄りの協会けんぽ支部へ提出すること※この20日は休日も含まれるので注意

    申出書の提出時に退職日の確認ができる書類を添付することによって、前勤務会社からの手続がなくとも任意継続の保険証を作成することができます。以前は勤務会社の手続きが必須だったのですが、退職者に対して手続きが不十分な場合も散見されたため、改善の運びとなりました。

    任意継続は以下の5つの条件に該当したときに資格を喪失します。

    〇2年間の期間満了日の翌日

    〇保険料が納付されなかった場合の、納付期限の翌日

    〇適用事業所の被保険者となったとき(再就職により協会・組合健康保険に加入したとき)※資格喪失申出書の提出が必要

    〇75歳の誕生日、または後期高齢者制度の被保険者となったとき

    〇死亡したとき

    4.任意継続被保険者とほかの制度と、どちらがお勧めなのか

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    任意継続制度を選ぶべきか、ほかの制度を選ぶべきかは、以下のポイントを参考にしましょう。

    ①在職中の標準報酬月額が30万円を超える場合

    任意継続制度には「保険料上限」があります。令和2年現在、30万円を超える場合は上限額となるため、在職中より保険料が安くなります(この場合は賃金額ではなく、標準報酬月額という「賃金額を一定程度の枠で区切ったもの」です)。

    ②国民健康保険と比べて、どちらの保険料が安いかで判断する

    国民健康保険料は、前年度の所得によって変動します。①の30万円を超える場合は任意継続を選んだ方が負担は少ないことが多いですが、①に該当しない場合はそれぞれ

    「自分なら保険料がいくらになるか」を計算し、どちらの保険料が安いかで判断しましょう。

    ③家族に対しては扶養制度が活用できる

    任意継続ではなく国民健康保険への加入を選択した場合、世帯全員分を健康保険に加入する「扶養制度」は活用できません。一方で任意継続は扶養制度が活用できるため、扶養対象の配偶者や親族のいる場合は任意継続制度への加入をお勧めします。

    ②で保険料が安くても、近いうちに家族の誰かが扶養に加わる可能性のある場合は、国民兼保険ではなく任意継続がお勧めです。国民健康保険は扶養制度がなく家族自身も保険料納付義務があるため、結果的に世帯の保険料が高くなってしまう、という事態が生じます。

    ④可能な限り「2年後(期間満了後)」を考えておく

    当面は保険料の安さから任意継続を選んだ、といってもこれで終わりではありません。フリーランスの状態が2年を超える場合、任意継続の期間満了を迎えることになります。2年以内に転職を考えておらず、任意継続被保険者を活用する場合は、「そのあとどうするのか」を考えておくとより安心です。

    筆者自身の話をすると、2015年に個人事業主として独立時、この制度を加入しました。国民健康保険も選択肢でしたが、妻を扶養に入れる可能性が僅かながらあったため、任意継続を選択しました。1年後、自身の個人事業を「法人化」することになり、健康保険の適用事業所となったため、任意継続からは脱退となりました。独立起業を目指して会社を退職し、このパターンの方は多いのではないかと思います。

    ここで注意すべきは、一度任意継続に加入すると「やはり国民健康保険の方がいい」「やはり扶養者がいい」と変更できないこと。毎月の保険料の違いは年ベースにすると大きな違いにもなるため、正確に計算をしたうえで何に加入するかを決めるようにしましょう。ここで悩む人は多いため、協会健保の窓口で相談に乗って貰うことができます。気軽に活用するようにしましょう。

    最近はフリーランスで収入を得る人も増えてきましたが、社会保険や年金制度のことを調べずに「収入」だけを見て退職する人も数多く見受けられます。また失業のリスクも高まってきているため、あらかじめ「もしもの事態」に対し準備をしておくのは大切なことです。失業・退職時のライフプランに大きな味方となる任意継続被保険者制度を理解し、活用できるようにしておきましょう。

    【この記事の著者】

    株式会社FP-MYS 工藤 崇

    株式会社FP-MYS 工藤 崇

    FP-MYS代表取締役社長CEO。1982年北海道生まれ。相続×Fintechプラットフォーム「レタプラ」開発・運営。資格学校勤務後不動産会社、建築会社を経て2015年FP事務所を設立。1年後の2016年7月に法人化。多数の執筆のほか、Fintech関連のセミナー講師実績を有する現役の独立型ファイナンシャルプランナー(FP)として活動中。スタートアップとしてシードラウンドまでの資金調達完了済み。拠点は東京都中央区茅場町。

    LettePla:https://letteplabiz.com/

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