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これからの生活がどうなるのか分からない不透明な状況が続いていますが、すでに週1-2回のテレワークを除いて日常生活が戻りかけている、という人も多いでしょう。最近ではコロナ感染防止とともに生活する「Withコロナ」「Afterコロナ」という言葉を耳にする機会も増えてきました。
さて、今回コロナ対策で様々な動きをした国や自治体は、私たちの税金で成り立っています。マスク配布や10万円の給付に言いたいことはあれど、今後もコロナ感染防止とともに生活が出来るように税金を納めていくのは私たちの義務です。そんな税金のなかで代表的な「住民税」が、これから大きく変わろうとしています。
税金の制度を変更するといえば4月(もしくは10月など秋)が代表的。まず、住民税はなぜこの時期に変更するのでしょうか。コロナの影響で2カ月遅れたのでしょうか。答えは、住民税の「算定時期」にあります。住民税の基礎と共におさえましょう。
住民税は国ではなく、居住している(住民票のある)地方自治体に支払う地方税です。都道府県民税と市町村民税(東京の特別区は特別区民税)があります。住民税の開始は6月から翌年の5月までで「1年」とカウントします。
具体的に言うと、これから納める2020年6月1日から2021年5月31日までの住民税は、前年(2019年1月1日~12月31日まで)の税金です。所得税がこの時期で計算するため、便宜上住民税の課税時期と支払時期に半年のタイムラグが生じるようになっています。ただ、1年のあいだで引っ越しをする人も多いはず。そのため、2020年6月から支払う住民税は「2020年1月1日時点」の市区町村に納税する仕組みになっています。
2020年春に就職などで引っ越しをした人は、実家など前の住所から「住民税を支払ってください」という通知(予定額通知)が届く頃でしょう。これは、この「2020年1月1日時点」の市区町村に納税するという仕組みによるものです。住民税は前年所得によって課税額の変わる所得割と、一律の均等割に分かれています。まずここまでをまとめます。
<住民税の基本の「き」>
少し脱線気味になりますが、プロ野球好きな人は、大幅減棒により選手が「来年の住民税支払えない…」と嘆いている映像がよくあると思います。これは「今年の所得は高いけれど、来年の所得は急減する。一方で来年の住民税は今年の所得によって算出されるため、急減した年棒で高い住民税を支払わなくてはならない」ということを意味しています。
住民税は(前年の)収入がそのまま税金の計算に使われるのではなく、さまざまな「控除」を差し引いたものが課税の対象になります。このうち、すべての人に適用される「基礎控除」が変わります。
<基礎控除の金額>
2019年まで:一律38万円
2020年:
所得2,400万円ということは、会社員(給与所得者)であれば年収2,595万円。想像を超えた超高額収入者です。そのため、ほとんどの人は「基礎控除が上がる」という計算になります。ただ、基礎控除の次にある「ほかの控除」。代表的なものは給与所得者が対象となる「給与所得控除」ですが、ここにも変更があります。
<給与所得控除の改正による変化>
この表を見ると、合計所得850万円以下の人は2019年までの給与所得控除は205万円(※1計算式)、2020年以降は195万円で10万円減少、一方で基礎控除は10万円上昇しているので相殺により負担感は変わりません。
このように、年収によって負担が変わってくるのが今回の住民税改正の特徴です。まとめると、合計所得850万円の人の税額は変わらず、850万円超の人は基礎控除の減額と合わせても負担増になることがわかります。
なお、負担増となる850万円超のうち、本人または家族が以下の条件に当てはまる場合は、新たに設けられた「所得金額調整控除」が設けられます。
・特別障害者(障害手帳で一定程度以上の重度障害を証明)であること
・23歳未満の扶養親族がいること
・特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいること
これらの対象として認められると、以下の算式により控除額が決まります。
私たち自身がすべきことは「自分はいくら払うのか」を認識すること。今回お伝えした数式で計算するのも一つですが、既に自治体から「予定納税額」が送られてきているはずです。
住民税は一括支払いと分割支払いがありますので、家計のなかでどのタイミングで支払っていくのかを考えましょう。何度も支払うのが嫌だからと一括支払いをして、ほかの生活費の余裕が無くなっては本末転倒です。また本人や家族に、前年度と比較して年収の下がっている人がいるときは注意(プロ野球のようなレベルではないと思いますが)。自分自身だけではなく、家族の納税通知書も確認するようにしましょう。
コロナショックによる家計の不安のなか、住民税の制度改正は不安を増殖することになると思います。ただ、今回の改正は決して、負担感を増やすものではありません。改正内容を理解し、自分のところはどうなるのか、落ち着いて確認することから始めましょう。
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